SSH研究主担 中根将行(生物科教諭)
はじめに
標記「2010年スーパーサイエンスハイスクール生徒研究発表会」が8月3日(火)から4日(水)の日程でパシフィコ横浜にて行われ、本校のSSH生を代表して片岡拓也・川坂健人・藤井 湧・安原咲希の4名が発表しました。SSH指定3年目に当たる本年は口頭発表1件・ポスター発表1件を共に「大阪城内濠のプランクトン調査2009」と題して発表しました。
発表内容
1976年に内濠でヒドラ(右図)という動物を発見し、その餌となるプランクトンに興味を持ち、調査を始めました。プランクトンの同定に目が慣れるまでは大変つらい作業でしたが、季節ごとに優占種が変化していく様は、新たな発見がありとても楽しいもので、特に6月からのボルボックス類の台頭は一見の価値ありです。
約30年間でpHはおおよそ5.5から8.5へと上昇し、優占種がワムシ類からミジンコ類へと変化しています。主な原因は地下水と思われますが、確かな証拠はつかめていません。そのため、発表者が昨年1年間かけて28回調査したデータをもとに、2つの仮説とその検証について発表しました。
1つめは下グラフによる「食う−食われる」の関係性の証明です。

おおむね、春分〜秋分にかけての温暖な期間に
「食う−食われる」の関係性は証明されました。逆に、秋分〜春分の寒冷な時期には「水温」が植食性プランクトンの活動を抑制していることと、越冬卵を持った植食性プランクトンが食われると減少率に大きく影響が出るため異なる変化を示したと判断しました。
もう1つは、ゾウミジンコの魚の捕食に対する適応の証明です。
左図のように、プランクトンを捕食するブルーギルなどが多い時期には、体長を小さくする適応をし、逆に、カイアシ類が多い時期には、体長を大きくしてその捕食からのがれていることが証明されました。下記参考文献を参照してください。
花里孝幸.ミジンコ−その生態と湖沼環境問題―.名古屋大出版会.2000年.第四版.
発表した生徒の感想
私は、今回初めてポスター発表を経験しました。うまく発表できるか不安でしたが、何とか説明もできて、質問にもほとんど答えられたので、安心しました。ただ、説明するときに、話がうまく繋がっていなかったと思うので、その点は反省しています。次からは発表の前にしっかり練習をして、話の流れを整理するべきだと思いました。今回は先輩方もいましたが、次からは自分がやらなければならないので、今回の経験を生かして頑張りたいと思います。
(安原咲希)
今回ポスター発表を担当させてもらいました。レイアウトも内容も、メンバーを始め、たくさんの人に手伝ってもらい完成しました。内容に関しては、研究への積極性が足りなかったようで、研究の面白さを伝えきれませんでした。前回の発表会でも同様な反省をしていたのが、

自分らしくも思います。メンバーに助けてもらって、無事にポスター発表を終えることができました。賞はとれなかったのですが、ポスター選考の投票用紙に書かれた感想に、わかりやすかった、など書いてもらっているのを見て、ほっとしましたし、満足しました。自分たちのブースに足を止めてくださった人の中には、いろいろ質問をしてくださり、なんだかんだで仲良くなったりする人もいて、発表会での人のつながりというのをひしひしと感じました。見に来てくださった人の中には、以前の発表会でお会いしていた人がいたりして、世間のせまさというか、不思議な縁を感じることもありました。たいへん勉強になったし、楽しむこともでき、充実した発表会になりました。この経験を自分に生かしたいし、後輩たちにも伝えて生かしたいと思います。
(片岡拓也)
今回の発表では、自分たちの研究の面白さをうまく伝えることができなくて、とても悔しかったです。発表スタイルとしては、原稿を読むことなく、聞き手を見ながら落ち着いて話すことができました。また、質問に対しても、的確に答えることができたと思います。これは、幾度となく私たちの練習に付き合ってくださった顧問の先生やOBさんをはじめとして、校長先生や教頭先生、社会科の先生に激励を受けたおかげです。ほんとうにありがとうございました。しかし、自分たちなりに仮説を立て、実験し、考察を行なうことから得られる、研究における「オリジナリティ」をうまく伝えることができませんでした。この経験は、将来にわたって役に立つものなので、今回の反省をしっかりと後輩に受け継ぎ、今後は、私たちならではの仮説を立てて、実験を行い、実証することで、さらに水の世界の不思議に迫っていきたいです。
(藤井 湧)
今回の発表会では「実験による仮説の実証」の重要性についてご指摘を受けました。確かに、「大阪城内濠のプランクトン調査」は伝統として受け継がれている性格上、継続していることに重点が置かれていて、各調査で検証すべきことは何かが明確に意識化されていませんでした。また、調査から導き出された仮説の証明実験になかなか取りかかることが出来ず、説得力が足りませんでした。この課題を解決するにも、今年はこれを実証するぞという明確な目標を持ったり、各調査日に調査に関する見解を持ち寄ったり、部員一人一人が明確な意識を持って研究に臨まなければならないように感じました。このSSH指定後の3年間でハードの面(調査手法や項目)には大きな飛躍があったので、私達のソフトの面(意識)に工夫を加えていけば、よりよい研究が出来ると思いました。3年生は今年で現役から退きますが、これからもプランクトン調査が発展していけるように見守り続けたいと思っています。
(川坂健人)
今後へ向けて
大学の先生方から「仮説の設定」と「それに伴う実験」を丁寧に・根気強く行うことが重要であると指摘されました。ある高校は、2種類以上の実験と仮説の検証を試みており、より高い評価を受けていました。顧問として、疑問とそれに伴う仮説の設定・実験、検証という、地道な研究を繰り返していきたいと考えています。
生物研究部の先輩達から受け継いだ「プランクトン調査」ですが、隔週日曜日のデータ収集の煩雑さに忙殺されて、楽しさや不思議さに迫る、純粋な高校生としての気持ちをくみ取り、伸ばしてあげることができなかった、顧問の力量不足を反省しています。
生徒たちは、今回の発表会での成果と課題を10月の学生科学賞へぶつけたいと、部長をはじめ意気込んでいます。
これからも、生徒たちとともにフィールドワークによる新たな発見に挑み続けたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
2010年8月8日(日)